感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。緊急事態宣言は私たちにとっては未曽有の事態ですが、歴史をひもとくと、世界規模の感染症の流行は何度も起きています。歴史的には感染症が社会を発展させた側面もあるそうです。受験世界史専門塾ゆげ塾(東京都豊島区)のゆげひろのぶ代表に解説してもらいました。
拡大する広大なモンゴル帝国を築いたチンギス・ハーン。アジアから入ってきたペストで、ヨーロッパの人口の3分の1が死亡したとされる
14世紀にパンデミックを起こし、黒死病と呼ばれたペスト。大航海時代に欧州とアメリカ大陸で交換されたと言われる天然痘と梅毒。ベンガル地方の風土病が、英国の覇権拡大で世界に広がったコレラ。第1次世界大戦の終戦の一因にもなったスペイン風邪(インフルエンザ)……。感染症が大規模に流行するたびに多くの人命が失われました。一方、感染症は、歴史の教科書に載っている様々な出来事のきっかけにもなっています。
「ペストは近代の陣痛」という言葉があります。ペストの流行が、暗く息苦しい中世から明るく自由な近代への転換をもたらしたという考えです。まずは、その文化的側面を説明しましょう。
中世の西ヨーロッパは神に対し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル